特徴
スチームビール(スチームビアとも)は、エールビールのようなフルーティな香りに麦芽のふくよかさを持ちつつも、ラガーらしいスッキリとした爽快な喉越しを兼ね備えた”いいとこ取り”なビールです💡

正式なスタイル名は【カリフォルニアコモン】!後述します😊
造られ方
そんな”いいとこ取り”なビールは、造り方がなかなかにトリッキー!
まず大前提として、ビールというのは大きく3種類に分類することができます👇️
・ラガービール(ピルスナーなど)
・エールビール(ペールエール、IPAなど)
・自然発酵ビール(ランビックなど)
これらがどのように分類されているかというと、使用される酵母の違いです💡
・ラガービール👉️ラガー酵母
・エールビール👉️エール酵母
・自然発酵ビール👉️自然酵母
シンプルですね😊
そしてそれぞれの酵母は、活動できる温度帯や発酵にかかる時間が異なり、使う酵母によってビールにもたらす香りや味わいも変わってきます💡

🍺ラガー酵母
下面発酵酵母とも。低温(約0〜10℃程)で発酵し、クセが少なくすっきりとしていてキレのあるビールになる。
🍺エール酵母
上面発酵酵母とも。常温(約15〜20℃程)で発酵し、フルーティーで香り豊かなビールになる。
🍺自然酵母
野生酵母とも。空気中や植物、果物の表面など、自然界にもともと生きている天然の酵母。酸味や複雑な香りを持った個性的なビールになる。

ビールの個性はどの酵母を使うかによって大きく変わると言っても過言ではありません👏
🍺 🍺 🍺
そして件のスチームビールは、なんと低温で発酵させるラガー酵母を、あえてエールビールのような温度帯で発酵させるのです😳
結果、エールビールとラガービールの間の子みたいな味わいのビールになるのだそうですよ。
ラガー酵母を使用しているので分類的にはラガービールですが、その製造方法からハイブリッドビールとして区別されることもあります💡

逆に、エール酵母をラガーのような低温で発酵させるビールもあり、代表的なのはドイツのケルシュ。ご興味あればぜひ👇️
発祥と歴史

カリフォルニアコモンは19世紀後半に、アメリカのカリフォルニア・サンフランシスコで誕生したビールです。
この時代のアメリカはゴールドラッシュ時代とも呼ばれ、アメリカやオーストラリアなどで金鉱が発見されたため一攫千金を夢見る人々がその地域へ殺到したことは歴史的に有名ですね💰️
そしてこの頃のアメリカのビール事情は、まだまだイギリス風のどっしりとしたエールビールが主流。

そんななか、カリフォルニアに移住してきたドイツの醸造家ゴットリーブ・ブレクルが自国から持ち込んだラガー酵母でラガービールを造ろうと試みます💪
しかしここでブレクルはあることに気が付きました。
「カリフォルニアには冷蔵設備が…ない?!」
先述の通り、ラガービールを造るには低温で発酵させなければなりません。当時ドイツでは洞窟や氷などを利用してラガーを醸造していましたが、カリフォルニアなどの西海岸には冷蔵設備や冷涼な環境はおろか氷さえも不足していました。悩みに悩んだ末、ブレクル氏は
ラガー酵母をエールビールの温度帯で発酵させるという、これまでの常識では考えられないような醸造方法を決行💥💥💥
そのようにして、(恐らく)やむを得ず造ったビールでしたが、飲んでみたら香りがいいしスッキリしていてキレもある!これは美味いぞ!!

そんなこんなで新しいスタイルを造り出したブレクルは、売りに出されていた古い醸造所を購入し「アンカー・ブルーイング」と名付けると、早速NEWスタイルビールのお披露目をしました😊
そしてこのビールは樽を開ける際にプシューッと炭酸ガスが蒸気のように噴き出すことから【スチームビール】と呼ばれるようになり(※諸説あります。)、瞬く間に人気となって他の醸造所でも造られるようになったのです👏

ちなみにアメリカの時系列的にはスチームビールよりラガーの方が先に造られています💡
ラガーが初めてアメリカで造られたのは東海岸側で、東海岸では冬の間に凍った湖や川から大量の氷を切り出し、おがくずで断熱して巨大な倉庫(氷室)に保管する産業が発達していたのです🧊
💥スチームビール存続の危機

その後、冷蔵設備が普及され始めラガービールが造られるようになってからも、スチームビールの人気は衰えませんでした。
しかしここで、アメリカに禁酒法時代(アルコールの製造、販売、輸送を禁止した法律。お酒を飲むこと自体はOKでした🤔)が訪れます。そして13年間の時が過ぎ、1933年にようやく禁酒法が廃止されたときにはたくさんの小規模醸造所が廃業に追い込まれていたのです。
アンカー・ブルーイングはなんとか営業再開は出来たものの、大手ビールメーカーの市場寡占化によって日に日に売り上げが減少していきます。
🗽アンカーを救ったフリッツ・メイタグ

いよいよ閉業に追い込まれた頃、アンカー・ブルーイングに女神の手が差し伸べられました。
その女神とはフリッツ・メイタグというスタンフォード大学の院生で、彼は毎日のように通いの飲食店でアンカー・ブルーイングのスチームビールを飲むほどの”アンカー好き”。
しかしそんなある日、飲食店の店主にこう告げられます。
「アンカーの醸造所は見といた方がいいよ。もうすぐなくなっちまうから。」
メイタグはアンカー・ブルーイングが存続の危機にあると知り、すぐさま醸造所へ向かいました。そして本人曰く「恋に落ちた」のだそうで、閉業寸前のアンカー・ブルーイングを買収することを決意。醸造所名もそのまま受け継ぎました。

実はメイタグはアメリカ洗濯機メーカーMaytagの御曹司!彼が保有していた家業の株を売り1965年にはアンカーを完全買収、そして経営者としてアンカーの再建に取り組んだのです。すごいアンカー愛!

それから6年の時を経た1971年、メイタグは創業当時のレシピを元にスチームビールを造り上げ、再現・販売するまでに至ります👏
先述の通り、禁酒法が廃止されてからは大手ビールメーカーが市場を独占していて、大手が造るビールはライトタイプのピルスナービールばかりでした。(日本に似てるネ。)
そんななか伝統的な方法で造られたスチームビールが販売されると、ピルスナー一辺倒に飽き飽きしていたビール愛好家達は大歓喜!新生アンカー・ブルーイングは着々とファンを増やし、醸造量も増えていきました😊

この新生アンカー・ブルーイングこそが、アメリカのクラフトビールムーブメントの火付け役です🍻🔥
なぜカリフォルニア・コモン?

ところでスチームビールってなかなかイカした名前ですが、なぜ正式なスタイル名は【カリフォルニア・コモン】なのでしょうか?
これには「なんてこった!」な理由があります。実はメイタグがスチームビールを再現販売した際に、「steam beer(スチームビール)」を商標登録してしまったのです🫣
結果、他の醸造所は同じ製法でビールを造っても商品名に「スチームビール」という言葉を使えなくなってしまった上に、正式なスタイル名としても使用することが出来ません。
そこでビール業界は、この伝統的なビアスタイルを「カリフォルニア・コモン(California Common)」と正式に定めて区別するようにしたのでした👏

この商標登録はアメリカでのみ有効なので、日本のブルワリーが日本国内向けに製造・販売することは可能です✌️
🍻日本で買えるスチームビール
永遠に輝く STAY SHINY(京都醸造)


成城石井限定商品!最寄りの成城石井では2026年8月29日現在まだ販売していました。日本でスチームビールをいただける機会はあまりないかと思うのでぜひ♬
🍺 🍺 🍺



コメント