ロンドン発の黒ビール
ポーターは1722年のロンドンで誕生したビールです。焙煎された濃色麦芽を使用しており、ココアやコーヒーのようなロースト香を感じることができます。他の黒ビールに比べてまろやかな味わいが特徴です。

濃色麦芽にはカラメル麦芽、クリスタル麦芽、黒色麦芽などがありこれらを数パーセント程度、普通麦芽と合わせて使用します。
黒ビールは濃色麦芽100%のビールではないのです。
ポーターの前身「スリースレッド」
当時ロンドンでは売れ残って酸味の出てしまったブラウンエールに新しいブラウンエール、そしてペールエールをブレンドした「スリースレッド(3本のより糸)」というビールが登場し、安価だったため庶民の間で大人気でした。パブなどでは注文を受けるたびにその3種類のビールを混ぜて提供していました。
エンタイアの登場
そんなスリースレッドが大流行のなか、ロンドンのパブのオーナーであったラルフ・ハーウッド氏が「注文のたびに混ぜるの面倒だし、工場で先に混ぜておこうよ!」みたいな感じで、「エンタイア(ひとまとめ)」というビールを製造、販売しこれが大ヒットとなるのです。
このエンタイアがポータービールの起源なのですが、なぜスタイル名が「エンタイア」ではなく「ポーター」なのでしょうか?これには諸説あり、このビールを特に好んでいたのがポーターと呼ばれる荷運び人であった説や、パブにビール樽が届いた際に「ポーター!!(届いたー!!)」と声かけをしていたためとする説があります。どちらにせよ、エンタイアという名前は浸透しなかったようです。
2種類のポーターともうひとつのポーター
ポーターにはやや濃い茶色の「ブラウン・ポーター」と、黒色の「ロブスト・ポーター」があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
ブラウン・ポーター
ポーターのなかでも最も古いスタイルです。ローストの風味や苦みが穏やかで、カラメルやナッツのような味わいと、麦芽の甘味を感じることができます。
ロブスト・ポーター
ロブストは英語で「強い」「深みがある」という意味で、一般的にポーターというとこちらのロブスト・ポーターを指すことが多いです。アルコール度数は6.0%程度とブラウン・ポーターよりも高く、苦味も強めです。その味わいはチョコレートやコーヒーを思わせます。

他にも「バルチック・ポーター」というスタイルのポーターもあり、こちらは下面発酵で造られるラガービールです。アルコール度数はロブスト・ポーターよりも高く、ラガービールらしくすっきりした味わい。特にアメリカで人気を博しています。
著者お気に入りのポーター

HEIWA CRAFT PORTER
製造/平和クラフト
平和クラフトは、清酒「紀土」やリキュール「鶴梅」を製造する和歌山県の酒蔵、平和酒造が手掛けるクラフトビールブルワリーです。メインが清酒でビールは片手間なんでしょ?なんて思うなかれ、平和クラフトのビールはどれも高品質で純粋に美味しい、そしてユニークなビールの多いこと!杉で香り付けされたラガーや山椒が入ったエール、梅干しを使ったサワービールもあればIPAやペールエールは王道の味わいだったりして、楽しんで造っているんだろうなあというのがわかります。
そしてこちらのポーターにはなんとティーマサラが入っていて、そのスパイスの香りと焙煎した麦芽の風味、甘味、コク、あとちょっとホップの苦味が合わさって夜のリラックスタイムにピッタリです。ティーマサラが主張し過ぎず、とてもバランスのいいビールです。苦めのチョコレートでもかじりながら飲んでいただきたい一杯です。
そんなポーターも入った平和クラフトの飲み比べセットです。気になった方はぜひ!
もちろん平和クラフトさんの公式サイトからも購入できます♬

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