キリン一番搾りとキリンラガー、どちらも生ビールだがその違いとは?【ビール基礎編】

はじめに

スーパーなどでビールを買う際、沢山の銘柄が並んだ商品棚を目の前にして「さぁて今日はどれを飲もうか…」なんて、しばし考えあぐねてしまうことがあります。そんな筆者をよそに、迷わず決まった銘柄を手に取っていくいわゆる”推しビール”がある人々をお見掛けすることが多々ありますが、では彼らが”推す”理由とは一体なんでしょうか?シンプルに味が好みだとか、昔から馴染みがあるとか、はたまたパッケージが気に入っているとか。理由は様々だと思いますが、今回はその「味」についてのお話をします。

ビールの原料とは?

日本においてビールとは、「①【麦芽】②【ホップ】③【水】④【その他原料】を発酵させた醸造酒」と定められています。(日本ではこの麦芽の量によってビールか発泡酒かを区分されますが、その話はまたの機会に。)とにかくビールを作るには前記の原料が必要不可欠なのですが、日本の大手ビールメーカーの多くにはそれ以外にもなくてはならないものがあります。それは【米】や【とうもろこし】、そして【でんぷん(スターチ)】です。それらは④【その他原料】に分類され、【副原料】と呼ばれます。

ドライな味の決め手

このような米などの副原料を使用する理由はなにか?それは、ビールの発酵を助成するためです。ビールにおける発酵の原理とは、麦芽と水から作った【麦汁(ばくじゅう)】に含まれる糖を、酵母がモグモグ食べることによって起こります。このとき酵母が糖をたくさん食べればキレのあるスッキリとしたドライな味わいになり、反対に食べる量を減らしてやると重厚感のあるビールになるのです。

日本の食生活は80年代頃から洋食化が進み、油をたっぷり使った料理が好まれるようになりました。それまで日本のビールの主流は麦芽100%の【ジャーマンピルスナー】というドイツ発祥のスタイルのビールで(日本はビール醸造技術をドイツから学びました。)、このスタイルも概ねスッキリとした味わいのものではありますが、食生活の変化などにより人々はそれよりも更に爽快で喉越しが良いドライなビールを求めるようになったのです。

このようなドライビールは麦汁中の9割以上の糖を酵母が食べることで作られるので、食いしん坊の酵母を使用するのが大前提です。そして麦汁中の糖が多ければ多いほどキレがよくスッキリとした味わいになりますから、日本大手メーカーは米やとうもろこしなどの副原料を使用し、麦芽以外からも糖を補充することによって酵母が食べられる糖の量を増やし、更にドライなビールを作り出すという独自の進化を遂げたのです。

麦芽100%のビール

2025年3月現在日本大手メーカーが販売している、米などを使わない麦芽100%のビール(オールモルトなんて呼んだりもします。)は「サントリーザ・プレミアム・モルツ」「サッポロヱビスビール」「キリン一番搾り」「キリン晴れ風」の4種類のみです。このことからも、日本ではよりドライなビールが好まれていることが分かります。

キリン一番搾りとキリンラガーの違いはなにか?

ここでようやくタイトル回収ですが、キリン一番搾りとキリンラガーにはどういった違いがあるのでしょうか?それぞれの原材料を見てみましょう。

✷キリン一番搾り:麦芽、ホップ

✷キリンラガー:麦芽、ホップ、米、コーン、スターチ

(水は成分表示の義務を免除されています。)

※同じくキリンのビールである「キリンクラシックラガー」や「キリン晴れ風」は、生ビールではなく熱処理ビールなので今回の比較からは除外しました。

ここまで読んで下さった方ならもうお分かりでしょう、キリン一番搾りは麦芽100%の【ジャーマンピルスナー】、キリンラガーはジャーマンピルスナーから日本独自の進化によって生み出されたドライビールなのです。どちらもスタイルは【ピルスナー】に分類される訳ですが、ひとくちにピルスナーと言っても沢山の味わいがあるのです。

あなたの推しビールはどうですか?

みなさんが普段飲まれているビールはどうでしょうか?気が向いたら缶や瓶に表示されている成分表を見てみて下さい。そんなに味に違いがあるの?と思った方は、実際に一番搾りとラガーを飲み比べてみるのもオススメです。新しい発見があるかもしれませんよ。

本日のまとめ

  • 日本におけるビールとは、麦芽、ホップ、水、その他原料を発酵させて作られた醸造酒
  • 日本の大手メーカーのビールには、発酵を助成するため副原料として米やとうもろこし、でんぷんが使われることが多い
  • 米などの副原料を使用したビールはすっきりとした味わいが特徴
  • 日本人は食生活の変化により、よりドライなビールを求めるようになった
  • ジャーマンピルスナーはドイツ発祥のビール

本日のペアリング

キリン一番搾り

  • スタイル:ジャーマンピルスナー
  • 適温:5〜8℃(冷蔵庫から出してすぐ常温のグラスに注いだくらい)
  • 推奨グラス:タンブラー型

ポテトチップスうすしお味

えぇ〜?ポテチ?と疑う気持ちは分かりますが、これが案外イケるんです。スイカに塩を少しかけて食べると甘味が際立って美味しいですよね。それと同じ原理で、ポテチの塩味が麦の甘味を引き立ててより美味しくなるのです。深夜のゆったりとしたひと時を過ごすのには申し分ないラインナップではないでしょうか。ぜひお試し下さい。

ではまた!

キリン一番搾りとキリンラガーを飲み比べてみませんか?
今話題の麦芽100%の熱処理ビール「晴れ風」や「黒生」も詰まったセットです♬


お供にポテチを!


参考文献



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